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奥村 義和; 藤原 幸雄; 柏木 美恵子; 北川 禎*; 宮本 賢治; 森下 卓俊; 花田 磨砂也; 高柳 智弘; 谷口 正樹; 渡邊 和弘
Review of Scientific Instruments, 71(2), p.1219 - 1224, 2000/02
被引用回数:36 パーセンタイル:84.06(Instruments & Instrumentation)核融合実験炉用の中性粒子入射装置のために、MeV級のエネルギーで数十MWという大出力負イオンビームが要求されている。国際協力のもとで6年間に及び研究開発を進めた結果、最大の課題であった1MeVの加速を実証するとともに、JT-60用負イオン源において世界最大出力の負イオンビーム(360keV,18.5A,6.7MW)の生成に成功した。負イオン源の長パルス化においても、140時間の連続運転を行い、フィラメントの寿命やセシウムの消費量においても十分に実用に耐えることを実証した。
渡邊 和弘; 藤原 幸雄; 花田 磨砂也; 柏木 美恵子; 北川 禎*; 宮本 賢治; 森下 卓俊; 奥村 義和; 高柳 智弘; 谷口 正樹
Review of Scientific Instruments, 71(2), p.1231 - 1233, 2000/02
被引用回数:10 パーセンタイル:55.17(Instruments & Instrumentation)5段の多孔型静電加速器を用いて水素負イオンの加速実験を行った。これは、1MeV級の中性粒子入射装置用負イオン源加速器の開発の一環として行っているものである。実験では、電極中央部の33=9個の孔から水素負イオンを引き出し加速した。電極ギャップは上流から104, 94, 87, 78, 72mmである。1MeV,25mAの加速に成功した後、高エネルギー領域でビーム光学を最適にするために、負イオン生成部にCsを注入し、15mA/cmの電流密度のビームを700keVに加速することに成功した。この条件でビーム工学は改善され、収束性の良いビームが得られた。総合電流は200mAであった。中間電極に流れる電流の比率もこの条件で最小値を示した。これら最適条件は設計値にほぼ一致することを確認した。
柏木 美恵子; 井門 俊治*; 奥村 義和
Review of Scientific Instruments, 71(2), p.747 - 750, 2000/02
被引用回数:2 パーセンタイル:26.94(Instruments & Instrumentation)NBIシステムのイオン源装置において、フィラメントから熱電子放出される電子の軌道を追跡している。フィラメント周りの陰極で加速された電子は、ガスを電離し、プラズマ放電の種となる。そのためこれらの高速電子の軌道及び電離衝突点分布の解析がプラズマ生成、分布の観点から重要となっている。本研究ではフィラメントからの高速電子を追跡している。装置モデルにはJT-60U用負イオン源装置を用いた。フィラメント近傍では電界を仮定し、電子は電界によりエネルギーを得ている。ここでは、まずフィラメント電流を変えたときの電子放出を調べた。次に装置内のドリフトについて解析した。また電子と水素ガスとの衝突を考慮し、イオンの生成点の分布について報告する。
金正 倫計; 杉本 昌義; 関 正和; 小栗 英知; 奥村 義和
Review of Scientific Instruments, 71(2), p.963 - 965, 2000/02
被引用回数:1 パーセンタイル:20.05(Instruments & Instrumentation)国際核融合材料照射施設(IFMIF)用のイオン源の設計検討を行った。今回設計したイオン源の特徴は、(1)ビーム引き出し部の電子温度を下げるための磁気フィルタを設置、(2)カスプ磁場領域の最弱磁場強度部分にフィラメントを設置、(3)マイクロ波入力可能なフランジ形状等である。ビーム引き出し部に磁気フィルタを設置することにより、引き出し部の電子温度が下がり、重水重分子イオンの生成率が小さくなるので、重陽子ビーム強度を大きくすることができる。また、カスプ磁場領域の低磁場部分にフィラメントを設置することにより、フィラメントの局部的な加熱が減少し、フィラメントの長寿命化が期待できる。さらに、マイクロ波放電も可能な構造であるので、1つのイオン源で2種類の違ったプラズマ生成法で、ビームの引き出しが可能となる。今回、イオン源本体とビーム引き出し系の形状について設計検討を行ったので報告を行う。
井上 多加志; Di Pietro, E.*; Mondino, P. L.*; Bayetti, P.*; Hemsworth, R. S.*; Massmann, P.*; 藤原 幸雄; 花田 磨砂也; 宮本 賢治; 奥村 義和; et al.
Review of Scientific Instruments, 71(2), p.744 - 746, 2000/02
被引用回数:17 パーセンタイル:67.92(Instruments & Instrumentation)トカマク型核融合実験炉では、プラズマ加熱と定常運転のために50MW以上の中性粒子ビーム入射が必要である。ITERでは3基の中性粒子入射装置(NBI)に各々1MeV,40Aの重水素負イオンビームを発生する大型イオン源・静電加速器を用いる設計となっている。ITER環境で1MVの高電圧絶縁にSF等の絶縁ガスを用いた場合、放射線誘起伝導(RIC)によってガス中に電流が流れ100kW以上のガス発熱が予測されている。そこでITER用NBIでは真空絶縁方式を検討している。本稿では1MeV静電加速器の開発途上で得られた真空絶縁の実験・解析結果及び設計指針と、それに基づく真空絶縁負イオン源と加速器の設計について報告する。
河合 視己人; Grisham, L. R.*; 伊藤 孝雄; 椛澤 稔; 栗山 正明; 藻垣 和彦; 奥村 義和; 渡邊 和弘
Review of Scientific Instruments, 71(2), p.755 - 757, 2000/02
被引用回数:10 パーセンタイル:55.17(Instruments & Instrumentation)JT-60U N-NBI用負イオン源は、500keV、22A、10秒間のビーム加速性能を持ち、負イオン生成部、引出部、加速部から構成される。負イオン生成部はセシウム添加型体積生成方式を採用しており、アークチャンバは半円筒形状で、その内径は64cm、内側の長さ122cmで、プラズマの一様性は10%以下を目標としている。可動プローブによるビームプロファイル測定や8系統のアーク放電電流比較の結果、不均一性の大きいことがわかった。この不均一性改良のため、(1)フィラメント加熱電力増大及びビーム引出前プリアーク時間の延長、(2)8系統のアーク電源限流抵抗値の調整を行った。(1)の結果、アンバランス量及び電流時間変化を抑制でき、かつ、ビーム電流の安定性も改善できた。(2)の結果、限流抵抗値調整により電流アンバランス補正に有効な初期データを得られた。
栗山 正明; 秋野 昇; 海老沢 昇; Grisham, L. R.*; 疋田 繁紀*; 本田 敦; 伊藤 孝雄; 河合 視己人; 椛澤 稔; 日下 誠*; et al.
Review of Scientific Instruments, 71(2), p.751 - 754, 2000/02
被引用回数:21 パーセンタイル:72.69(Instruments & Instrumentation)500keVで10MW入射を目標とするJT-60用イオンNBIは、1996年以来約3年間運転している。このNBIでのイオン源当たりの出力としてこれまでは負イオン水素ビームで360kV,18.5Aの加速を行っており、またJT-60プラズマへの入射実験では、5.2MWの中性ビーム入射を果している。イオン源及びビームラインでのパワーフロー測定結果によると、加速ビームの30~40%が三段加速の電極で失われている。このロスの大部分はビーム自身の各電極への直接衝突によって生じている。アークチャンバー側壁のカスプ磁場による偏向の影響を最小にするため、引出し領域の両端(全引出し面積の約10%)をマスクしたところ、このロスは約30%減少した。このロスをさらに小さくするための原因究明の研究を続けている。
大越 清紀; 齋藤 勇一; 神谷 富裕; 酒井 卓郎; 田島 訓
Review of Scientific Instruments, 71(2), p.1174 - 1176, 2000/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Instruments & Instrumentation)フリーマンイオン源は、フィラメントがプラズマ中に設置されているため消耗が激しく、寿命が短いという問題があった。われわれは高融点物質のイオン化のためのSFプラズマ法を応用して、フィラメントの長寿命化技術を開発した。SFガスでプラズマを生成するとフィラメントが太くなる現象が起きるため、この付着物を分析したところプラズマ室構造材のモリブデンであることがわかった。このことからプラズマ生成用ガスにSFとArの混合ガスを使用し、SFプラズマによる付着量とArプラズマによる消耗量をバランスさせることで、フィラメントの寿命を飛躍的に延ばすことに成功した。これまで行っていた従来法(Arプラズマ)でNbイオンを5A発生されると寿命は約6時間であったが、今回開発した方法ではNbイオンを10A発生させて約86時間運転しても、ほとんどフィラメントの消耗はなかった。
横田 渉; 齋藤 勇一; 奈良 孝幸; 石井 保行; 荒川 和夫
Review of Scientific Instruments, 71(2), p.906 - 908, 2000/02
被引用回数:1 パーセンタイル:20.05(Instruments & Instrumentation)原研18GHz ECRイオン源は1994年に製作され、真空装置やガス導入装置の改良により、徐々に性能が向上してきた。しかし、得られたArイオンの最高価数は16で、そのビーム電流は2nAと、予想される性能を下回っていた。このイオン源ではミラー比を広範囲に変化させるために、1対のミラーコイルの間にソレノイドコイルが設置されている。多価イオン生成時(ミラー比、約2)の中心軸上の磁場分布には、ソレノイドコイル位置に盛り上がり(バンプ)が現れる。これが原因と思われる2つ現象から、バンプがプラズマを2つに分断してプラズマの加熱を妨げるために多価イオンが生成され難くなっていると推測された。そこで、ソレノイドコイルの長さを半分にすることでバンプをなくす改造を行った結果、Arのビーム電流は1.3Aに増大した。本発表では、改造による性能向上の要因とプラズマの分断の可能性をデータをもとに議論する。
齋藤 勇一; Yotsombat, B.*; 水橋 清; 田島 訓
Review of Scientific Instruments, 71(2), p.955 - 957, 2000/02
被引用回数:9 パーセンタイル:52.82(Instruments & Instrumentation)Csスパッタ負イオン源を用いて安定に酸化セリウムを生成することに成功した。セリウムを含むランタノイド系元素は蒸気圧が低く仕事関数が小さいため、Cs1次イオンを生成するアイオナイザーに付着し、そのイオン化性能を低下させる。われわれはスパッタカソードを2重構造にすることでこれを解決した。カソードに酸化セリウムを詰め、その上をタングステンで覆いそこに2mm程の穴をあけた。これにより、スパッタされるセリウムの立体角が小さくなり、アイオナイザーへの付着が少なくなった。また、タングステンによりアイオナイザー(タングステン製)の修復も同時に行われる。これにより200mA以上の負イオン電流が安定に得られた。
小栗 英知; 富澤 哲男; 金正 倫計; 奥村 義和; 水本 元治
Review of Scientific Instruments, 71(2), p.975 - 977, 2000/02
被引用回数:8 パーセンタイル:50.38(Instruments & Instrumentation)原研では現在、大強度陽子加速器を用いた中性子科学研究計画を提案しており、また本計画とKEK-JHF計画の統合計画も議論されている。これらの計画で使用する負水素イオン源は、ピークビーム電流60mA、デューティー2.5%のビーム引き出しが要求されている。そこで原研では、この要求性能を達成するために必要なイオン源の基礎データ収集を目的とした体積生成型負水素イオン源を製作した。本イオン源のプラズマ生成室は、内径150mm、高さ200mmの円筒型である。ビーム引き出し系は4枚の電極で構成されており、ビーム引き出し孔の直径は8mmである。イオン源下流でのビームの中性化損失を防ぐために、本イオン源に差動真空排気ポートを設け、イオン源下流の真空容器を高真空状態に保つ。差動排気の結果、ビーム電流値は1.7倍増加し、現在、セシウム添加なしの状態で、負水素イオンビーム電流11mAを得ている。